なんて女なんだ、って思った。

なんて最悪な出会いなんだ、って思った。

だけど、それすら今に繋がるだと分かった時、それは大切なものだと知った――





ファースト・コンタクト





城塞都市ジャド。剣を持ち、騎士の身なりをした剣士―――この俺、デュランは今この町に足をついた。
故郷フォルセナから船でここまで辿り着き、そしてこれから聖都ウェンデルに向かうこととなる。
そこに行けば、強くなる方法を知ることが出来るかもしれない。あの、フォルセナに進行したアルテナの魔道士…赤いマントに包まれた、協力な魔法を司るあの魔道士に勝つための方法が。
勇んでジャドの町を進み始める。その度にコツ、コツと乾いた足音が響く。
既にアイテムは故郷で支度しているので、得にジャドの店寄る事もなくジャドからウェンデルへの境目の森、ラビの森に入ることにした。まだその先に滝の洞窟があり、それを抜けるとウェンデルにつく。長い道のりなだけに、善は急げ、だ。
が。ラビの森へと入る入り口を目にして、デュランははたと目を丸くした。
「………封鎖されてやがる」
そう言えば、今は城塞都市ジャドはとある者達によって支配されているのだった。
聖都ウェンデルへ進行しようとしている、ビーストキングダムと言う獣人の国が。
その獣人達によって、ラビの森への一口は完全に封鎖されている。
「厄介だな…」
自らの剣でそいつらを倒していっても良いのだが、流石に応援を呼ばれたり、最悪掴まる…なんて事になっては困るので結局すごすごとジャドの町の方へ帰るしか術がない。…どうしたらいいのだろうか。
ふー、と溜息をつきながら町の中を歩く。そこではた、とデュランは足を止めた。
「…酒場にでも行くか」
酒を飲むためではない。情報収集のためだ。
それに生憎、あまり金は持ってないせいもあるのだが。
そう決めると、デュランは酒場の方へ足を進めた。






カランカラン、と言う音を出しながら、酒場の中へと入った。
何か情報を聞ければ…と思ったのだが、生憎あまり人はいないようだ。
予想が外れたか、と思って酒場から出ようとすると、ヒソヒソと声が聞こえてきた。
どうやら酒場の主人と、見慣れない薄紫の髪を腰まで伸ばした細い体格の青年とが話をしている。
思わずそれに聞き耳を立てていると、こんな風に聞こえてきた。
(……実は、そこが狙い目さ!奴ら、夜になって変身している間は、血が騒ぐのか、じっとしていられないみたいで、警備が手薄になる。町を抜け出すチャンスだ!)
その話は、デュランの頭にピン!ときた。
これだ、この方法を使えばラビの森へと向かうことが出来る。
デュランは即座に酒場から出て、空を見上げた。まだ日没までは時間があるようだった。
それまで無駄に動くのも体力を消耗させるだけなので、一休みしようと思った。ふうと息を一つつくと宿屋へと向かった。






「いらっしゃい」
宿屋の中へ入ったデュランは真っ直ぐに宿屋の店主の方へと歩いた。
「夜まで休ませてくれ」
「はいよ。どうせ今は獣人達いて商売にならないしね。無料でいいよ」
「おっ、サンキューな。」
今までずっと厳しくしていた顔をちょっと綻ばした。
早速寝具の方へ向かうと、隣に女性が寝ていた。
(…昼間っから寝てやがる。コイツも夜に抜け出すクチか?)
そんな事を思いつつ、自分を寝ようとしたその時。
「……ん…」
(…と、起こしちまったかな?)
が、正面を向くように寝返りをうっただけだった。デュランはふうと胸を撫で下ろす。
そうしたら、その女性の顔が良く見えた。
赤紫の美しく映える長い髪の毛。雪のように白い肌。そして、見たこともない位美しい顔立ち。
生憎女性に全く興味の無いデュランだったが、綺麗だな―――と、柄にも似合わず思った。
無意識のうちに、その女性の前に立ちずっと見つめつづけていた。
「………」
触れようとも、顔をもっと近くで見ようとも思わないけれど。
何故か酷く、酷く彼女に惹きつけられたような感じがした。
どのくらいそうしていただろう。時すら流れるのを忘れて、そのまま立ち尽くしていた。
と、その止まったような時を動かしたのは、まぎれもなく。



「ちょっと、何、あんた?!」



そこでようやくハッ、と我を取り戻す。気が付くと目の前には寝具から上半身を起こし、此方を睨みつけている女性。
先ほどまで寝ていた、あの女性だ。
見開かれた翡翠の目には、何か知らないが怒りを称えている。ずんずん、と此方に近づいてくるなり、こう言い放つ。
「…怪しいわね。…! もしやあんた、何かイヤラシイ事しようとしてたでしょ?!」
その言葉を聞いた瞬間、デュランは顔の色を変えて否定した。
「んなっ、とんでもねぇ!俺は別にっ」
「問答無用!」
バチン!と音がして、自らの体が風に煽られたかと思うと、次の瞬間には床に叩きつけられていた。
ヒリヒリと左頬が痛むのを感じて、あの女に引っ叩かれたのだと確信した。
何しやがる…、と歯を噛み締め立ち上がり、反論しようとした矢先には、もうこの犯人の女は既に自らの寝具で再び眠りの中へと落ちていた。
「………なんなんだ、この女…」
未だにヒリヒリ痛む頬をぐいっと拭い、このまま眠る気も起きずさっさと宿屋を出た。
その頃にはもう日は落ちようとしていた。






それから、獣へと変身した獣人達を倒し、ラビの森へと直行した。
早速滝の洞窟の入り口からウェンデルへと入ろうとしたが、ビーストキングダムに攻められるのを警戒してか
入り口に結界が貼ってあり、中に入れなかったのだ。
困り果ててしまったが…とりあえずしばらくラビの森の奥地にある、湖畔の村アストリアで休み、ラビの森で戦うを繰り返していると、マナの女神の使いで来たと言う妖精フェアリーと出会った。
そしてデュランはフェアリーの主となり、フェアリーなら結界をなんとか出来ると言われ、再び滝の洞窟の入り口へと向かった。






そして、滝の入り口に来たデュランの目の前には。
あの自分を勘違いして思い切り引っ叩いた、忌々しい記憶の重要人物。
始めて見た時と全く変わらない、赤紫の美しく映える長い髪の毛。雪のように白い肌―――忘れるはずも無い、あの顔立ちと、吸い込まれそうになるまでの翡翠の瞳。
「お前…!」
「あ…!あんたあの時の変態!」
「誰が変態だ誰が!!」



それから、アンジェラだと名乗ったこの女。

まさかこの女――アンジェラが、自らにとって、後々、一番重要な存在になる事も知らずに。

この事に気付くのは、まだまだ、先の話―――――










あとがき。
初・デュラアン小説です。でも何もラブってねぇ…(去ね
聖剣伝説3は、私が物心ついてから一番最初に目にしたゲームで、一番最初に好きになったCPが、このデュラアンでした。
なので非常に思い入れ深いのですが、実際書くとあら不思議、全然書けなかったりする(駄目やん



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