「ああっ…、全く……、閃光の奴はどうしてあんなにドSなのでござるか!!」
これ以上ないくらいにご立腹な女忍者の声が、ホルルト村中に響きそうな程の大音量で木霊した。





シノビアイ





ここはホルルト村、アデルの家の裏庭。比較的落ち着いたこの野原の上で、(むしろ)を敷き、その上に茶道具やら湯のみやら和菓子やらを並べ、そこに先程怒号を叫んだ女忍者イライザと、その相棒である男忍者ヴァジーヌが、お互い向かい合い、正座して座っていた。
「に、にん…落ち着くでござる、イライザ…」
「しかし、ヴァジー殿!そうは言ってもこれが落ち着いていられるでござるか!」
宥めようとしたヴァジーの声かけは全く逆効果だったようで、イライザはその怒りを抑えることはない。
「先日も、拙者がついておきながら、閃光にシャルル殿を連れて行かれ…!今日に至っては、公衆の面前で堂々と抱擁をしおった!嗚呼、純粋無垢なシャルル殿が、あの閃光の手によってどんどん開発されていくのが分かる……拙者はもう一時も黙ってなどおられ――ん!!」
「…にん……」
ヴァジーは思わず、苦しい表情を浮かべ、短く御決まりの口癖を漏らした。
イライザが、このようにヴァジーと二人きりの小さなお茶会を開き、ことあるごとに、ドS侍…こと、閃光の愚痴を聞いて貰っているのは、今に始まった事ではない。
元はといえば、あの天然で好奇心旺盛な性格故、少々危なっかしい盗賊シャルルを、責任感強く面倒見の良いイライザが、まるで妹のように指導し、仲良くなったのが発端であった。
そこに自然に介入してくるのが、シャルルと仲の良い侍の閃光。二人は既に深い仲にまで進展しており、更には何かの切欠で、いつものへっぽこな性格は何処へやら…ドSで危険な性格へと変貌してしまう閃光が、最近シャルルを徹底的に開発しているのだ。
それはもう、ドSと言われるだけある、想像するだけで唖然としてしまいそうな、とてつもな〜い様々な攻め方で。
当然、シャルルを妹のように可愛がるイライザは、怒り心頭に発した。
イライザも杖で脳天を叩いたり、手裏剣やクナイを投げてみたり、それこそ色んな忍法で閃光撃隊の策を講じたが……閃光もなかなか、こういう事には頭がいい。ひょいひょいと器用に仕掛けを避け、悠々とシャルルを自分の手のひらにキープしているという訳だ。
………そんな訳で、行き場のないイライザの怒りは、相棒ヴァジーへの愚痴へと繋がる。
こうして、今日もまた、ヴァジーはイライザの愚痴を大人しく聞いている破目となった。
「今度はどんな罠を仕掛ければいいでござろう…、もう落とし穴作戦は掻い潜られてしまったでござるし…、ヴァジー殿、何かいい策はないでござるか?」
「………にん。では、煙幕で閃光の視界を絶えさせ、その隙にシャルル殿を奪還するというのは…?」
「おお!ナイスアイデアでござるなっ!流石はヴァジー殿でござる!」
かたじけない、と礼の言葉を言いながら、(新しい策が思い浮かんだのが嬉しいのか)今度は上機嫌でヴァジーの手を取り、ぶんぶんと上下に振る。
しかし、一方でヴァジーの表情は、暗く沈んだままであった。
(イライザ……最近、閃光とシャルル殿の話しかしないでござる…、もしや…いや、考えたくはないでござるが……イライザは、閃光のことを好いているのでござるか…?)
ならばこの異様な執着も納得がいく、とヴァジーは思った。それと同時に、ただでさえ沈んでいた心境が、更にずーんと沈んでいく。辺に胸がモヤモヤして、苦しい。しかしヴァジーは、よく分からないこの思いを上手く口にすることも出来ず、すっと静かに立ち上がってイライザに背を向けた。
「? ヴァ、ヴァジー殿?どうしたでござるか?」
「……にん…すまんでござる…。拙者は…これ以上、イライザの話を聞く事が出来ないでござる。失敬するでござる」
「ヴァジー殿ッ?!ま、待って下され!」
イライザの引き止める声を無視して、ヴァジーは何処かへと立ち去ってしまった。




「……ヴァジー殿…?一体、どうしたでござるか…?」
取り残されたイライザは、突然のヴァジーの謝絶に呆気に取られ、ぽかんと腑抜けた表情をしたまま硬直してしまった。
口下手なヴァジーのことだから、上手く言葉には出来なかったのだろうが…あれは、はっきりとした拒絶であった。それを理解した瞬間、イライザの心が押し潰されるような圧迫感に(さいな)まれた。
「も、もしや……拙者があまりにも愚痴ばかり申すから、愛想が尽きたのでござるか…?!」
確かに最近、ちょっとヴァジーに愚痴を漏らし過ぎていた。幾らヴァジーがどんな事も嫌がらずに聞いていてくれる優しさを持っているとはいえ、流石に度が過ぎると嫌気も差すだろう。それに、ヴァジーがいつも大人しく聞いてくれるからといって、自分は彼に甘えすぎていた。こんなのでは、嫌われて当然だ。
「……そ、即刻ヴァジー殿に謝らなければ…!」
即決すると、慌ててイライザも立ち上がり、ヴァジーの姿を探して追いかける。ヴァジーの足はとても速いが、先程立ち去ってしまったばかりなので、恐らくまだそんなには離されていない筈。
(ヴァジー殿は、拙者の大切な相棒…!嫌われるわけにはいかないでござる…!)
その強い意志を胸に携えながら、イライザが駆けて行く。と、そこでふと、ローラ、マーシェル、スメタナ、イヴの四人とすれ違った。イライザに気付いたローラが、笑顔でイライザを呼び止める。
「あ、イライザ、そんなに慌ててどうしたの?」
「ローラ殿…!それにマーシェル殿、作曲者殿、イヴ殿まで…」
「おい、何気に俺だけ作曲者って呼ぶなよ」
思わず、作曲者ことスメタナが突っ込む。
「申し訳ないでござる。つい癖で」
「癖ってオイ……」
「す、スメタナさん、元気出して下さい…!」
かなり落ち込みだしたスメタナを励まそうと、イヴが健気な声で話しかける。相変わらず気を遣わせてしまった事が申し訳なかったのだろうか、わりぃ、とスメタナはイヴに言った。
そんな二人もそこそこに、マーシェルが唐突にイライザに問うた。
「そういえば、イライザはなんでそんなに急いでるんだー?何かあるのかー?」
「はっ!そ、そうでござった!実は…その、拙者がヴァジー殿を怒らせてしまったようで…謝りに行こうとしてた所でござる」
「ヴァジーが怒る?そんな事ってあるの?」
ローラの素直な疑問に、確かに、と他の皆も相槌を打った。
ヴァジーといえば、喜怒哀楽の"怒"だけが綺麗に抜けたといっても良い位、とっても温厚で冷静な性格、というのが印象に残る。実質、彼が怒る所など誰も見たことがない。
一応ヴァジーの師匠というだけもあるスメタナが、それはおかしい、と真っ向から否定した。
「ヴァジーが怒る筈ねぇだろ。あいつの事はこれでも知ってるつもりだが、俺もそんな所見た事ねえ。怒るって言うより、混乱して訳が分からなくなってる、とかだと思うぜ?」
「……混乱…?ヴァジー殿が、何故(なにゆえ)そのような…?」
「さぁな。……そういえば、最近ヴァジーあんまり元気なさそうだったな。そしたら、"なんかイライザが閃光の事ばかり言っていて、それが意味は分からないけど辛い"って言ってたぜ?…イライザは心当たりあるんじゃねえか?」
「………!」
思わず、イライザはどきっとした。やはりあの愚痴がいけなかったのだ。忍の癖して、相手の迷惑も考えず行動するなんて、なんという未熟者なのだろう。しゅん、と落ち込むイライザに、ふと、ローラが疑問を抱く。
「ねえ、イライザ。ヴァジー、ひょっとしてイライザが、閃光の事好きだって誤解してるんじゃない?」
「なっ?!何故拙者が閃光を好かねばらなぬのでござるかっ?!」
思っても見なかった言葉に、イライザはぎょっとした。あんなドSを好きな筈がないでござろう!と叫びながら、ぶんぶんと首を横に振って全力否定する。しかし、ローラはそれで疑問を確信に変えたようだ。
「だからよ。イライザはシャルルの事を心配してるだけなんだろうけど、ヴァジーにとっては、そう思えたのかもしれないわ。わたしも、もしマーシェルさんに別の人の話題をされたら、もしかしてその人のことっ…?!って誤解しちゃうもの。」
「い、イヴも……もし、好きな人に他の人の事を熱心に話されたら、辛い…です」
イヴは、スメタナの方をチラッと向きながら、ローラの意見に賛同する。二人に事細かに指摘され、イライザはハッとした。しかし、次の瞬間、思い浮かんだ可能性に恥ずかしさが湧き、顔が勝手に真っ赤に染まってしまう。
「し、しかし…それでは、まままるで、ヴァジー殿が、拙者のことを好いているようではござらぬか…」
「どう考えてもそうじゃない?ヴァジー、いつもイライザの傍にいるし」
「そ、それは相棒だからで…」
ローラはキッパリ肯定する。しかし、それは相棒だから、とイライザはしどろもどろになりながらも尤もらしい理由をつけた。
「違うわ、相棒ってだけで、あんなにずっと傍にいて見守ってくれてると思う?…だからね、イライザが閃光の事ばかり話すの、ヴァジーはとっても不安だったと思うわよ?好きな人が別の人の事を好きなんじゃないかって思って、ヴァジーも混乱しちゃってるのよ」
かぁぁ、とストレートなローラの言葉に、イライザは赤面する。
「……せ、拙者は…拙者は、なんという思い違いを………」
もしそれが真実なのだとしたら…、自分はなんということをヴァジーにしてしまったのだろう。
自分が閃光の愚痴を乱れ打つように話していた時、ヴァジーは一体どんな思いでそれを聞いていたのだろう。一体、あの忍の面の下で、どんな辛そうな表情をしていたのだろう。ヴァジーは自分の大切な相棒なのに、そんな事にも気付けなかったなんて。
激しい後悔が、イライザの心を取り囲む。ぐっ、と胸の上で両手を力強く握り締めた。
「早くヴァジーの所に行ってあげて、イライザ!」
「そうだぞー。ヴァジー、多分村はずれの平原にいると思うぞ。魔物たちもそう言ってる」
ローラとマーシェルにそう言われ、イライザは頷くと、四人に感謝を込めて丁寧な御辞儀をした。
「かたじけないでござる…!…イライザ、いざ参るでござる!」
キッ、とその赤い瞳を決意深く煌かせ、イライザは疾風の如く身を馳せた。




一方、此方は村はずれの平原―――
魔界化して、無残にぼろぼろに崩れ落ちた瓦礫の山に身を隠すようにして、ヴァジーは独り佇んでいた。
やや傾いてきた日と、澄み切った青空を見上げて、ふぅ、とヴァジーは溜息をつく。
(にん………らしくないでござる。あれでは、イライザを不安にさせてしまった…どうして、あんな態度を取ってしまったのでござろう…)
あんな態度を取るつもりではなかった。ただ、あの場にいるのが忍ばれなかっただけ。相棒の傍を居心地悪く感じるだなんて、失礼に他ならないというのに。
この頃から、ずっとそうだ。イライザが閃光の愚痴を話す度、訳が分からないモヤモヤした感情が、ヴァジーの胸を締め付ける。言葉にするのならば―――"辛い"、のだ。
"辛い"…イライザが閃光のことを話すと…イライザが閃光のことを好きなのでは、と思うと…、心が、"辛い"。
(………もしや)
一つの可能性が、ヴァジーの脳裏を掠めた。
この心の異変を当て嵌めるのに丁度良い言葉が、もうこれしか思い浮かばなかった。
(………拙者は、イライザのことが……)


「――――――ヴァジー殿ッッ!!ここにいたでござるか…ッッ!!」


「!…い…イライザ……」
忍者らしい物凄い素早さで、シュバッと広場に降りたったイライザとおもむろに遭遇し、ヴァジーは驚きで僅かにおのめいた。
さきにあんな態度を取ってしまった為、合わせる顔がないという事もあり、ヴァジーは思わず、逃げようとイライザに背を向けた。
「あ、ヴァジー殿っ!待って下され!!」
「すまぬ…!今は、放って置いて欲しいでござる…御免!!」
「ヴァジー殿っ…!!」
今にも跳んで行ってしまいそうなヴァジーをなんとか引きとめようと、イライザは慌ててヴァジーの腕をがしりと掴んだ。
「?!」
腕を引かれたことに驚いて、ヴァジーが振り向いた瞬間、イライザは身体ごとヴァジーの胸に飛び込み、両腕を回し、逃がさないようにしっかりと抱きついた。
「イライザ…?!」
「嫌ッ…行かないで下され…ッ!!話を、拙者の話を聞いて欲しいでござる…!!」
ぎゅうぅ、と強く回されるイライザの細腕。今まで見た事がないくらい、必死な相棒の形相。そんな悲痛なお願いをされて、ヴァジーが断れる筈もなかった。一度目を伏せ、ふぅっと深く息をつく。歩みかけた足を揃え直し、その赤眼を開くと、静かにイライザを見下ろした。
「…にん。…承った」
その言葉を聞いて安心したのか、イライザは顔をあげ、即座に、深々と頭を下げた。
「ヴァジー殿、申し訳ないでござる…!拙者、あれほどヴァジー殿に不快な思いをさせていたなど、微塵も気付かずに…傷つけていたでござる。相棒として…一番してはいけないことをしたでござる。……本当に、申し訳ないでござる…」
「イライザ…、いや…拙者も、すまなかったでござる…あんな冷たい態度を…。だから、イライザが謝ることは…」
思わずヴァジーは、そう言いかけてやりながら、イライザを止めようとするが、イライザはそれを押しのけて、キッとヴァジーを見上げた。
「拙者がヴァジー殿にしてしまった事に比べれば当然でござるよ!!拙者は、あの純粋なシャルル殿が、閃光に汚されてしまうのではと心配していただけでござる…!だから、だからあの阿呆侍の事などを好いているわけではないでござる!!それを勘違いさせてしまって…、拙者は、拙者は……!!」
「………い、イライザ……?」
ヴァジーは、どうしてそれを…、と、考えていた事を的確に当てられ、目を点にして吃驚している。その様子からして、やっぱりローラの予想は的中していたらしい。イライザは思わず頬を紅く染めるが、一度ずばずばと言葉を放った口は、もう止まる事を知らない。自分でさえ自覚していたかどうか怪しい事までを、あっと言う間に言の葉へと変える。
「だだ、だから…その、せ、拙者は…ヴァジー殿のことうぉっ…」
勢いのままに、しかし理性が言葉を噛ませて。
……中途半端な所で、その先を言えなくなってしまった。
「……に…にん……」
流石に、ここまで喋られると、その先に紡がれるであろう言語を、言われずとも悟ったのだろうか。
ヴァジーは先程の仰天した表情のまま、頬を淡く染め、困惑したように硬直した。
そんなヴァジーの様子を見てから、遅れながら今頃にとてつもない恥ずかしさが込み上げ、ボンッ!とイライザは湯気をあげた。
(せ、せ、拙者の馬鹿者…ッ!!これでは、告白をしてるも同然ではござらぬか?!嗚呼っ、ヴァジー殿の誤解を解くつもりが余計混乱させるような真似をッ…!!ヴァ、ヴァジー殿が困っておるではないか!!)
ぶんぶん、と頭を抱えながら首を左右に振り回す。高く結い上げた紺色の髪がそれに伴って左右に揺れた。
「…………イライザ…」
と、ふと、ヴァジーが、慌てふためくイライザの両肩に自らの手を乗せた。それに気付き、イライザは漸くその奇妙な照れ隠しの動作を止める。
イライザがヴァジーを見据えたのも束の間、次の瞬間、何をするのかと思えば、ヴァジーは自分の忍びの面に手を掛け、スッと顎の辺りにまでそれをずらす。線が細い、しかしとても端整なヴァジーの素顔が露になった。
(……ヴァ、ヴァジー殿…?)
相棒である自分でさえも、一度も見たことのなかった彼の素顔に、思わずイライザは見惚れてしまう。端整な顔立ち。引き締まった顎。白髪から覗く紅い瞳に、真っ直ぐに見据えられて、目が逸らせない。まるで、何かに魅入られてしまったかのよう。
と、ヴァジーは、ぽけーっとしたまま動けないイライザの面にも手をかけ、同じ様にずらした。
ヴァジーと同じく、イライザの素顔が露になる。
「?!ヴァ、ヴァジー殿ッ…?!」
そこでやっと、イライザは我を取り戻す。
しかし、次の瞬間には、ヴァジーの顔がすぐそこにまで迫っていた。
(こ、こ、こ、これはっ…?!も、も、もしや…俗に言う"接吻"…?!!)
この至近距離で、男と女が面を取らなければできないものといえば、まさにこれしか思い浮かばなかった。
(うわわわわっ…!!せ、拙者、まだ心の準備がっ…)
理性が抵抗を試みているが、身体は不思議と動かなく、また顎を上向きに固定する彼の手のひらも、予想以上に強く。
もうこれを止める気力など、いつの間にか何処ぞへと消え失せ、待つは次の瞬間に訪れるであろう初めての口付け。
(ヴァ…ヴァジー殿ぉっ………)
どちらともなく瞼を伏せ、二人の影が交わろうとした、が―――


「あ――――――ッッ!!!イライザにヴァジー、発見―――ッッ!!!」


突然二人の間に割り込むようにして聞こえた大声に反応し、バッ!!と二人は咄嗟に面を付け直し、声のした方に振り向く。
すると、先程話を聞いてもらった、ローラ、マーシェル、スメタナ、イヴの四人がそこにいた。
「…………ろ、ローラ殿…マーシェル殿…作曲者殿、イヴ殿…?!な、何故ここに…?!」
「ローラがお前たちのこと、心配だって言ってたから、追っかけにきたんだぞー」
「……アレ?なんか俺達、今すげー悪いタイミングで来たんじゃ…?」
「そ、そうみたい…です」
「い、いやその、せせせ拙者達わ別にッ…!!」
どうやら、向こうもそれを悟ったよう。イライザが慌てて否定するが、何せ気付けば、イライザとヴァジーは熱く寄り添ったまま。この状態で否定しても、その意味は、十中八九皆無。
悪いことをしたなぁ、と申し訳無さそうにするスメタナ・イヴとは対照的に、ローラはこれ以上ないほどにニンマリと怪しく微笑んだ。
「わぁ、ごめんなさーいvじゃ、わたしたち退散するから、二人とも、気を取り直してごゆっくりーぃvv」
「だ、だ、だ、だ、だから違うでござる――――ッッ!!!」
「………にん…」
顔をこれでもかと真っ赤にして、イライザが力の限り叫ぶ。しかしそれもローラの気分上々な声にかき消され、意味のない奮闘をひたすら繰り返す相棒を見据えながら、ヴァジーはぽそりと呟いた。
呆れたような…残念だったような。けれど、いつの間にか胸の奥をくすぶっていた不安が消えた事に、不思議な安堵感を覚えながら。




後日談。
「閃光!!!」
「うぁっ?な、なんだよイライザ…俺に声かけてくるだなんて珍しいじゃ…」
「……お前の事を認めた訳ではないが、あのような場面を潜り抜けられる勇気には、一目置くでござるよ…!!」
「……………はぁ?」
意味が分からず、閃光は目を点にして首を傾げた。
……あの時ばかりは、恋愛事に一番経験深く、接吻などの場面も余裕で体験済みであろう、閃光の事をちょっとだけ尊敬したなんて…悔しいから、言いたくても絶対言えないイライザでした。




大切な大切な相棒が、心揺るがせる大切なヒトになっていく。
まだ、その変化には上手く追いつけていけるかどうかは、分からないけれど―――緩やかに、けれど確かな前進を以て。
お互いの心が、より深く深く結びつくように。

育みましょう、忍び愛。










あとがき。
以上、忍者♂×忍者♀でした!
このカプはメイキングカプの中でも好きなカプの一つなのですが、なかなかこの二人の話を描けずにいました…!いや実際書こうとして意外と難しくて放置してたというのが正しi(殴)
兎にも角にも、イライザとヴァジーの恋も、これで少しずつ進んでいけばいいなー、と思っていますvこれを切欠に、イライザも(恋愛事を切り抜けるという面でのみ)少し閃光を尊敬することでしょう…(笑)
それでは、ここまで読んで下さって有難うございました。また次回作品でお逢い致しましょう。



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