組織を恨んでいるだけよ



あなたのことは大好きなのよ



だからお願い



行かないで…













行かないで下さい


















「こ…ここはどこなんだ…?」


ムサシ達とはぐれ、俺は一人森の中にいた。

一人になって、もう5日だ。

そろそろ再会してもいいころだと思うんだが、なかなかそうもいかないんだなこれが…。

しかし5日森の中を歩き続ける今、ムサシ達のことはおいておきたい。

腹が減ってしかたないんだ…。

木の実1つない、とてつもなく殺風景な森。


あぁ、俺このまま一人…いや、独りでこの森をさまよい続け、腹を空かして、

何も食べられないまま飢え死にしちまうのかなー……。


なーんて考えてたその後の記憶が、ないわけで。





























「ぅ…ん……。」

「お目覚めに…なられました…?」


気付くと俺は、見知らぬベッドに寝ていた。

ここは、どこだ?


「ここ…は……?」

「あぁよかった、ご無事みたいですね。」

「…お…俺……。」

「森で倒れてらしたんですよ。私がここまで引っ張ってきたんです。」


ベッドに座る俺の顔をのぞき込む女の子の言葉に腕を見てみると、

まだ新しい傷と土汚れがあった。


「大丈夫でしたか?あ…どこか痛いですか…?」

痛いと言えば…腕と背中の擦り傷だが…。

いや、俺はそんなこと気にしている場合じゃないんだ。


「は…腹が……。」

「え、お腹が痛いんですか!?」

「いや、減って……。」

「…?」

女の子は、不思議そうな顔で俺の顔をのぞき込んだ。

「……あぁ、お腹が減ってらっしゃるんですね!」

手を合わせて笑うその姿が、少しだけ愛らしく見えた。













「っはぁ…美味かった…。」


本当に生き返った気がする。


美味い料理を食べ満腹になった俺の頭に、あいつらの顔が浮かんだ。


ムサシ、ニャース、あいつら元気でやってるかな…。


「お口に合いました?」

「ん?あ、あぁ、美味かった。ごちそうさま。……本当にありがとうな。」

「いーえ、どういたしまして。」

女の子は、またにっこりと微笑んだ。


「そうだ、お名前聞いていませんでした。私です、あなたは?」

「俺?俺は…コジロウ。」

「コジロウさん、ですか!素敵なお名前ですねえー。」

と名乗る女の子は、先ほどと変わらぬ笑顔で言った。



「でも、どうしてあんなところに倒れてらしたんですか?」

「ん…?あぁ、いやー…俺、仲間とはぐれちゃって…。」

「えっ…それは大変……仲間の方、心配されてるんじゃ…。」

「いや…大丈夫さ。…あいつらも元気でやってると思うし。」

心配そうなに笑いかけると、はまた笑う。

「そうですね、大丈夫ですよきっと!」

「おう。」


何て話している中ふと窓を見ると、外はもう真っ暗だった。


「…何時だ?」

「へ?んーっと…今は…11時…ですね。」

「11時…!?お…俺そろそろ帰るよ!」

「えぇっ!?危ないですよこんな時間に!今日は遅いですし、泊まっていって下さい!」


俺よりも驚いた表情をして、は言った。







「…何なら…ずっとここにいて下さっても……。」

「え……?」


は、だんだんと暗い顔になっていく。


「私ね…母親を殺されたんです…ある悪組織に。」


「悪…組織……?」


悪組織のその言葉に、俺は何か申し訳ない気分になった。


「はい…ロケット団って言うんですけどね。」


「ろ…ロケット団……!?」


俺はここにいていいのだろうか。

を騙しているような気がする。


「えっと…それで、寂しいんです。今、独りぼっちだから…だから、ずっと、いませんか…?ここに…。」

「悪い…無理だよ。」

「どうして…!…お願い…いて下さい……いてほしいんです…コジロウさんに…!」



「俺は、ロケット団だから。」

「………!?」


の目の色が変わった。

今にも殺されてしまいそうな目。


「ロケット…団……あなたが……!!」


そう、俺はロケット団。

…まぁ俺は…人を殺すなんて物騒なことできねぇけど…。


「だから…悪い……悪いな、。」


の目の色は、だんだんと先ほどの綺麗な目へと戻っていった。


「そ…そ、それでも……いい…!あなたが母さんを殺したわけじゃないんですもの…ねぇ…お願い…!!」


困った、本当に困った。

はいい子だと思う。

今俺に何もなければ、ここにいたいとも思う。

だけど、俺には仲間がいるんだ。


ムサシと、ニャースが。



「悪い…。」


「私…コジロウさんのこと好きです…大好きです…!!一目惚れしたんです…話してみても…すごくいい人だし…!」


赤い顔をして、目に涙を浮かべるが、愛しくてしかたなかった。


やっぱりダメだ、後5分でも一緒にいれば、俺は本気でを好きになっちまう。


「だから…お願い…コジロウさん…!!」


「ごめんな…。」


俺はそう言って、家を飛び出した。


「いやっ…!待ってコジロウさん…!!」


も必死に俺を追いかけてきた。



何故だろうか、本気で走れなかった俺の服の裾を白い手が掴む。


同時に、真っ白な雪が俺達を包みだした。





「行かないで…行かないで下さいコジロウさん…!」


の目からは、大粒の涙が零れていた。


俺は、そっとを抱きしめた。


「コジロウ…さん…?」


「愛してる、。」


たぶん俺、ものすごく真っ赤な顔をしてると思う。

に見られたくないから、抱きしめる腕を強めた。


「コジロウさん…行かないで…。」


「ごめんな、俺、仕事があって…仲間がいるんだ。…だから……行かないといけない。」


「…コジロウ…さん……。」


このまま別れるのも、何だかものすごく名残惜しい。



だから俺はそっと、の唇に自分の唇を重ねた。


「……!?」


少しだけ深い口付けに、は顔を真っ赤にした。


「また、会おうな、。」


俺は、小さく笑い腕を離した。


「…コジロウさん……。」


「また…な!」


「……さよう…なら……。」


唇の下に指を添え、寂しそうに呟くに俺はまた笑いかけた。


最後に見るは、あの笑顔のじゃなかった。


あふれ出す涙を必死に止めようと、痛々しい作り笑いをしていた。






"俺も、一目惚れだったんだ。"





今度会うときは、笑い合おうな。




俺は、心の中で、小さく呟いた。














−++−++−++−++−++
ひ…悲恋!?
いや、違います!!
甘くしたんです!!!
つーかこれ…、
『暖かい雪』の前のお話かも。
…いや、ちょっと雰囲気似てるだけかも。

って言うか今日のポケモンあんまりだった。
5分くらい見てないんだけど、
ロケット団悪事働いてました?

…あ、もういっこ!
ちゃんのお母様は、
誤って殺されてしまったことにしておいて下さい。(汗

2style.net